動産譲渡登記- Movables Registration -
動産譲渡登記って何?
動産譲渡の事実を公示し、第三者対抗要件を具備するための制度です。
動産譲渡登記ファイルに記録することにより、動産の譲渡について民法第178条の引渡しがあったものとみなされます。
従前、動産譲渡で問題であったのが、不動産のような登記制度がなかったことです。
公示制度がない場合、債権者としてはその調査に多大な労力を要するためです。
動産譲渡って具体的には何を?
農水省の後押しもあり、農水産物関係(野菜や魚加工品)の担保が一時、
ニュースとなったりもしました。動産で制限があるのは、登録自動車や機械器具等、別に登録制度があるものです。
一般的には、市場価値が確立しているものが担保として好まれます。
その理由は当然、後の売却を視野に入れるためです。
宝飾品、未登録自動車、ワイン、高級ブランドの品々、食料品…
市場価値が存しないとしても、別にブランド価値がある場合には、担保として用いることも出来るでしょう。
なぜ動産譲渡登記を使うの?
占有改定に代わって、登記という、公示手段を用いることが出来るから!
これに集約されます。
従前、動産を担保に供する場合、通常は企業の倉庫等の保管場所に保管されたままで、通常の営業過程でそれらを用いることは否定されない場合がままあります。その上で占有改定という、同じ場所で保管されていながら、例えば銀行さんが「保管よろしく」といい、企業が代理人として保管しています、という、外形的にはよく分からない方法でしか、対抗要件を具備できませんでした。
しかし、お分かりの通り、例えば、後で在庫処分をする場合に一切合財、在庫処分業者に売ってしまっても、その業者は当然、そんな占有改定のことなんか知らないわけですから、善意取得(民法192条)の可能性が出てしまうわけです。
そこで登場したのが、動産譲渡登記なのです。
⇒動産譲渡登記をしておけば、善意無過失の反証が容易(特に金融機関等の譲受人については。)となり、善意取得を打ち破れると考えられます。